135ccヨーグルト瓶 135ccヨーグルト瓶 - スタームヨーグルト系列

スタームヨーグルト (1)スタームヨーグルト (1)   スタームヨーグルト (2)スタームヨーグルト (2)   スタームヨーグルト (3)スタームヨーグルト (3)
スタームヨーグルト (1) (2) (3)

(株)日本酸乳研究所
広島県広島市大洲町5-344
石塚硝子製
135cc底面陰刻

日本酸乳研究所・尾道営業所
広島県・所在地仔細不明
広島硝子工業製
135cc底面陰刻

(有)高野酸乳研究所・福山営業所
広島県福山市三吉町南1-1-38
広島硝子工業製
135cc底面陰刻

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<スタームヨーグルト系列>(日本酸乳西部研究所)

過去採用メーカーは相当数に及ぶ。原液の卸売り・供給元は広島市大洲町、昭和31年設立の(有)日本酸乳西部研究所。会社は35年に主要拠点を千葉に移し、その後タンポポ産業へ改称。他社飲料のOEM生産をメインに今なお健在。企業概要にはスターム関連の来歴も載っていた。

昭和29年に広島市において、ヤクルトのボトリング業者として創業し、32年発酵乳の設備を充実することで、乳酸菌飲料“スターム”の原液並びに希釈製品の販売を始めた。33年には江戸川区に東京営業所を開設し、乳酸菌飲料の販売・拡充につとめた。35年には、現在本社のある船橋市に土地を求め、希釈壜詰部門の拡大と併せて、発酵乳の製造設備を増設した。(⇒タンポポ産業・企業概要書/千葉県バイオ・ネット・コム)※IAキャッシュ

公式サイトの会社沿革で、日本酸乳西部研究所の名前も確認できる。広島に残った拠点は(株)日本酸乳研究所へ転換(後述)。掲載(1)(2)番瓶はその頃の容器だ。

◆スターム(原液)⇒ヤクルト(希釈物)

そもそも「スターム(スタム)」は、希釈前の「ヤクルト原液」を示す、(ボトラー向け)原料の商品名だった。発酵の分野では種菌・培養基の菌株を「スターター」と呼ぶ。ここから生まれた造語らしい。

昭和10年、福岡に代田保護菌研究所が発足、ヤクルトの販売を始めた草創期、既に原液は「スターム」と名付けられている。戦後、ヤクルト本社の技術学習グループを「スタム会」とも称した。

日本酸乳西部研究所は、引用の企業概要にある通り、ヤクルトのボトリング(希釈・瓶詰め・販売)業者さんとして創業。まさにこの「スターム」を仕入れて「ヤクルト」にして売る商いだった。

◆ヤクルトのからの卒業

広島でのヤクルト販売は好調も、昭和30年、東京にヤクルト本社ができ、経営環境は変化。ヤクルトの看板で商売する以上、原液の購入代金・ロイヤリティの支払いを免れず、負担感が増したようだ。

というわけで、日本酸乳西部研究所は独自に原液を開発。昭和31〜32年頃、スタームの仕入れをやめ、ヤクルトを卒業。自らの乳酸菌飲料(希釈物)を「スターム」の呼称で売り始めた。また、ヤクルトと同様にボトラーを募って、各地に進出。掲載の高野酸乳研究所(※)は、往時に参画の1社だ。

※広島県福山市、清涼飲料水メーカー。平成18年末に廃業のご様子。もっとも紙栓仕様のアイテムに関しては、既に廃止されて久しかっただろうと思う。(⇒高野酸乳研究所の「ブランカ」の瓶

◆ヤクルトのからの訴訟

困ったのがヤクルト側。代田保護菌研究所が(株)ヤクルト本社に発展、全国制覇を目指そうという時期に、広島の有力販社が裏切った格好だ。しかもヤクルト原液「スターム」の名前を勝手に使われた挙句、日本酸乳は一部の分類で「スターム」の商標登録まで完了していた。

昭和30年代、スタームを巡って裁判の記録が残る。当初、ヤクルトの提起した商標登録の無効審判請求は「利害関係がない」と却下された。「そんな馬鹿な」と判決取消を求めて行政訴訟。37年「確かに利害関係はあるね」の認定を授かり、ヤクルトは再び無効審判請求…の顛末。

最終的にどうなったか良く分からない。昭和40年代まで「スターム」「スタームジュース」といった醗酵乳・乳酸菌飲料は市場に出回っており、のち競争激化で自然消滅に至ったような印象を受ける。

◆日本酸乳(西部)研究所とは

掲載瓶を見ると、単に「日本酸乳研究所」と書いてある。昭和38年、(有)日本酸乳西部研究所を、(株)日本酸乳研究所が吸収合併し、西部は解散。いずれも所在は同じ(広島市大洲町5-344)。便宜的に設立の2社を合理化したか、合併前に片側の本店登記を移したか、仔細は不明。

いっぽう、この「日本酸乳研究所」について、メールで情報をお寄せ頂いたことがあった。
・昭和30年頃、愛媛県松山市萱町に、ヤクルトの前身として短期間営業
・経営はヤクルト本社の創業者一族(創業メンバー?)のひとりだった
興味深いエピソードだが、根拠資料を見つけられず、各社間の繋がり方は未だ謎だ。

日本酸乳研究所が原液作りのノウハウ・レシピを伝授、その相手が西部研究所、という関係も成り立ち得る。なにしろ乳酸菌飲料は上手くやれば球団を買えるほど儲かる商材だった。従って携わる事業者の動きは非常に活発、自由奔放。各営業状況は資料に乏しく、沿革を辿りにくい。

― 謝辞 ―
ジャンボフェニックス様より(2)(3)番瓶をご提供頂きました。

― 関連情報 ―
後藤牧場のスタームの紙栓 (やまべ牛乳) / 中郷牧場のスタームヨーグルの紙栓 (ほどほどCollection)
日本酸乳研究所・徳島営業所 / 川上ミルクプラントのスターム (牛乳キャップ収集家の活動ブログ)


135cc瓶のもくじ ハトヨーグルト系列
(東洋発酵乳)
スタームヨーグルト系列
(日本乳酸研究所)
ビオールヨーグルト系列
(スタム栄養科学研究所)

ルナ・ヨーグルトン系列
(日本ルナ/ヨーグルトン乳業)
ソフトヨーグルト系列
(弘乳舎)
ビオグルト系列
(日本ビオグルト)
ビタヨーグルト系列
(日本栄養研究所)

サン/SPヨーグルト系列
(太陽化研/サンヨーグルト)
天洋グルト系列
(天洋社薬品工業)
デラックスヨーグルト系列
(日研乳業)
フジヨーグルト系列
(フジヨーグルト)

スーパーヨーグルト系列
(スーパーヨーグルト研究所)
系列不詳・独立系(1)
(乳業/乳酸菌飲料専業)
系列不詳・独立系(2)
(清涼飲料水/その他メーカー)
系列不詳・独立系(3)
(食品メーカー)

掲載情報には各種Webサイトや書籍資料(参考文献一覧)の参照/引用、その他伝聞/推測が含まれます(利用上のご注意)。



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