<ロゴマーク・ブランドの変遷>
創業当初のアサヒマーク(社章)は、古巣・明治製菓のそれとほぼ同じ。旭日旗を楕円・小判型にあしらった紋様の中心に、製菓は「MS」、乳業は「乳」の字を組み込んで、昭和61年まで使用した(明治製菓への改称以前、東京菓子を名乗った大正初期のオリジナルでは、「TK」の頭文字を配していた)。
デザインの都合上、明治製菓はサイコロキャラメルの箱にだけ、例外的に?元祖アサヒマークを残したが、これも平成28年に終売へ至り、とうとう撤廃されている。
(4)〜(6)番瓶に登場する筆記体風のMeijiロゴも、明治製菓の策定を踏襲。商標登録は昭和30年、乳業側の利用は同39年頃から。47年、筆記体は肉太書体へ変わり、製菓の新シンボルに。しかし乳業は追随せず、旧字体のまま推移。昭和61年のアサヒマーク廃止と同時に、デザイナー五十嵐威暢氏の手によるブロック字体に転換した。
“時代遅れでやぼったい”と自ら評すアサヒマークの廃止と、Meijiロゴの刷新。[明治乳業70年史]の第一章を飾るブランド改革への言及は、「体質的に古いイメージのある乳業界で初めてのCI(コーポレート・アイデンティティ)導入」を謳う。(もっとも、CI発想に基づくロゴの取り替えは、同業者間なら協同乳業が数年早かった)
頭文字の“M”に躍動感・企業スケール・信頼感を象徴。赤色は「MEIJIレッド」、人間が生まれて最初に知る色。人間を見守る企業・温かみのある企業でありたい、の含意。このシンボルは四半世紀のあいだ明治乳業の顔となり、長期活用され、後年は特徴的な“M”の頭文字を箱型に仕立てるなど、二次展開も見られた。
◆事業統合によるロゴマークの刷新
平成23年、明治乳業と明治製菓は事業統合、(株)明治として再発足。あらかじめ設立の共同持株会社・明治ホールディングス(株)の再編を受ける格好で、乳業と製菓の食品部門を(言わば昔と同じように再び)集約した。
この際、乳業・製菓の既存ロゴは引退、統一ブランドマークを新規策定。「MEIJIレッド」を継承しながら、レタリングは大幅なイメージチェンジ。ふくよかでやわらかな書体・親しみのある小文字、「iji」の造形は人々(例えば母子)が寄り添い支え合う姿を表す…の趣向だ。(⇒明治製菓と明治乳業の新しいブランドマーク/公式サイト・IAキャッシュ)
新マークはアメリカのデザイン会社・ランドーアソシエイツの作。過去、日本オフィスのサイト上に事例紹介が載っていた。担当個人の名前は明かさない企業ポリシーで、作者は不明。乳業の旧ロゴは五十嵐威暢氏、製菓の旧ロゴは亀倉雄策氏…日本屈指の著名デザイナーのロゴを束ねた、生みの親は分からない。謎のまま、も妙味というところか。
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