<瓶の世代と流通時期> (加工乳・色物・ジュース等の専用瓶を除く)
ホモちゃんのバリエーションに加え、エンゼルマークの表情や羽の紋様は、無数のマイナーチェンジの塊だ。掲載ビンは明らかに違うものだけ選んで載せたが、(4)〜(7)番あたりは「まあ同じですよね…」の感が強い。
(1)番よりも古い初代の印刷瓶が、下段ショーケース販売の写真にかろうじて見える。「森永牛乳」銘とエンゼルマークを胴部の下側に配し、バター宣伝欄のないビンだ。森永の印刷瓶採用はホモ牛乳発売後の昭和27年頃。瓶には間もなくホモちゃんが入るため流通期間は極めて短く、回収はまず無理だろう。
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画像上:デパートでのショーケース販売の様子(昭和20年代後期)…初代印刷瓶(推定)と、掲載(1)番瓶が混在のようす。元写真は白黒。AIによる自動彩色。 |
ホモちゃんデビューは(4)(5)番瓶。太陽のギザギザが丸みを帯び鼻は大きく、現行ロゴとは少し印象が違う。前者は瓶底に市乳180cc、側面に正180ccの両方を刻印、昭和31年7月の計量法改正過渡期らしい構え。続く(6)(7)番は(4)(5)番と世代交代しながら並行流通。ロゴ描画は安定せず、ブレが大きい。
昭和43年の表示公正競争規約を受け、(8)番共通瓶に切り替わり、ローマ字Morinagaロゴが初登場。以降マークの不揃いも解消した。この瓶は200cc移行後、コーヒー・フルーツ等の色物専用に転換、昭和50年代まで存続する。
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画像上:森永乳業の市乳アイテム集合写真(昭和40年)…まず大瓶が(8)番デザインに移行。ヨーグルトの色がとってもケミカル。三角パックと、1リットルのゲーブルトップが見える。 |
(9)(11)(14)番の3本は例外。デザインは基本を踏襲しつつ刷り色(赤/青)が異なる。(11)番は沖縄対応品。本土の200cc移行後も一合瓶が主流だった当地事情に即す。(14)番は白物・色物すべて200cc商いの地方流通品か(⇒参考:宮城・ウルトラ牛乳)。または明治牛乳200cc青瓶と同様、学校給食向けの可能性がある。
(10)番瓶も珍しいタイプ。一般に白牛乳の標準容量が200ccになるのは昭和45年以降、学校給食牛乳の増量政策が契機。この瓶は「要冷蔵」未標示、昭和43年以前の流通と見込まれ、一部エリアで早期に200cc販売した名残りか?類例は宮崎・南日本酪農協同(デーリィ牛乳)にも確認できる。
現行のビン製品は、プラ栓+シュリンク包装+無地の軽量新瓶(180cc)。平成16年頃、関西から変更が始まり、関東は平成17年に導入、200cc瓶装を廃止。都下の一部学校でビン牛乳の供給が絶える騒ぎも起きた(⇒別頁<4>)。旧来の印刷瓶は消滅、ホモちゃんの笑顔は今、主に牛乳プリンのマスコットに活用されている。
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