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お前、牛乳の脂肪球を粉砕しろ。
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<ホモ牛乳の概要>
「森永ホモ牛乳…同性愛者のミルク?」「名糖ホモビタ牛乳…しかもビタビタ?」ゲロ牛乳同様、その商品名が奇妙な連想を招く牛乳の一種。戦後、森永乳業が大々的に売り出した時、こういったイメージは存在しなかった。
「ホモ」は【homogenized】(ホモゲナイズド、ホモジナイズド)の勝手な略で、「均質化」の意。もともと搾りたての牛乳は脂肪分が固まっており、上部に浮いてクリーム層を成す。このままだと飲みにくい、上下で成分・風味が異なる。脂が絡んで大量生産に不向き…。
そこで均質化だ。処理を行うことをホモジニゼイション、処理する機械はホモジナイザー、処理後の牛乳がホモジナイズドミルク、処理しないで売るのがノンホモ(ジナイズド)ミルク、という塩梅。
<ホモを巡る争い>
ひたすら掻き混ぜると思いきや、実際は高圧ポンプ、近年は超音波も用いる。原乳を超極細のパイプへ押し通し、ズバズバ噴出。あるいは超音波でビリビリして、脂肪球を徹底粉砕だ。
均質化すると「粒子が細かいため消化吸収に良い」と言う。一方で「胃腸に長く留まるノンホモは多くの栄養を吸収できる」とも。また「均質化で風味・喉越し良好」のメリットに対し、「脂肪分が空気に触れ酸化が進む。有害物質生成の危険」のデメリットが叫ばれる。
じゃあ一体どっちがいいんだ、と苛立つのは早い。ホモ・ノンホモと一緒に語られることの多い「殺菌温度」議論の紛糾は均質化是非論争以上の泥沼で、恐るべき亜空間と化しているのだ。
<ケーススタディ〜無難な対応>
◆食生活に一家言ある方に対して
やっぱり牛乳は、ノンホモ・低温殺菌が一番うまい!自然に最も近い形で味わうのが、当たり前のスタイル。大手の超高温殺菌・ホモホモ牛乳なんて、まやかし・まがいものですよ!
◆自分がスーパーで買うとき
高温殺菌の味も別に悪くないし、だいたい牛乳を殆ど飲まないから、どうでもいいや! (で、結局牛乳を買わない。ひどい)
…というのは極端な例にしても、残念ながら大半の一般市民にとって、生乳の処理方法のアレコレが、決して興味をそそられる話題でないことは確か…だろう。
<ホモホモ今昔物語>
日本で導入が本格化した昭和30年代にはイケイケの最先端テクノロジーで、均質処理がひとつの売りになった。森永乳業は「ホモ」の略称を乳製品分野で商標登録し、「ホモ牛乳」の名を独占、怒涛の宣伝・営業攻勢を仕掛けていく。
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後追いに奔走した諸メーカーは、仕方なくホモゲ牛乳、ホモジ牛乳、均質牛乳、完全均質といった呼称に頼らざるを得なかった。
諸論あれど現在、市販品はホモ牛乳が大半を占める。加工技術的には陳腐化し、それを強調する所は少ない。ホモちゃんでお馴染みの森永乳業も、森永のおいしいホモ牛乳とは命名しないわけである。
錆びながら残るスポンサーベンチやホーロー看板、名前を変えず、あくまで「○○ホモ牛乳」を売り続ける会社…戦争を知らない子供たちの目に触れたとき、既に「ホモ」は同性愛者を意味する時代だった。
画像左:森永ホモ牛乳の店頭看板(昭和30年代後期)
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同性愛者を(侮蔑的なニュアンスを込めて)「ホモ」と呼び始めたのは、いつ頃なのか?昭和50〜60年代、「ホモ」「均質」を冠する乳製品は劇的に減った。それが当然になったのに加え、「ホモ」に想定外の意味が浸透したことも、無縁ではなさそうだ。 |