昭和30年代に杉並区で創業。後年は東京小平と埼玉所沢、郊外2拠点の構えも、名前は堂々の銀座乳業さん。所沢側は昭和末期に撤退(のち全酪の分工場として短期操業)、小平側(本社)も平成11年に解散・廃業、ブランドは消滅した。
主力アイテムは乳飲料・乳酸菌飲料・ヨーグルト。他社OEM(受託はグリコ、小岩井、ゼンラク、保証乳業、三井農林乳業、近藤乳業ほか)にも注力した様子をうかがえる。
◆バラエティ豊かな甘い飲み物の会社
昭和30〜40年代の品揃えは多岐多彩。甘味系メインの乳製品メーカーで、古い紙栓からの判明分は以下の通り(同一アイテムの呼称変更といった重複を含む)。発売・終息の入れ替わりなど、ラインナップの年次変遷は不詳。
<乳飲料>
◇銀座コーヒーミルク ◇アイコーヒー
◇銀座フルーツ(銀乳フルーツ) ◇フルーツミルク
◇銀座チョコレート牛乳(GINZAチョコレートMILK)
◇銀座蜂蜜牛乳(QUEEN HONEY MILK) ◇バーモント牛乳
<乳酸菌飲料>
◇BLACK COFFEE(ブラックコーヒー)
◇銀座フルーツ(GINNYU FRUIT) ◇フルーツミルク ミルコ(Milco) ◇オレンジ
◇銀乳ドリンクヨーグルト ヤング(YOUNG)
◇ドリンク クリームサワー ケフィヤー ◇オックスシルバー(OX)
◇ゴールドバーモント(GOLD Vermont) ◇バーモント
◇FRESH生JUICE ◇プリンス生ジュース(Fresh Juice)
<発酵乳>
◇GINZAフルーツヨーグルト ◇フルーツヨーグルト(オレンジ/ストロベリー/バナナ/メロン)
◇ハニーヨーグルト ◇女王蜂ヨーグルト/クィーンヨーグルト(Queen yogurt)
◇GINZAクリームサワーヨーグルト ◇PINEPET(パインペット)
<その他>
◇ホワイトアスパラガス アスピユ(清涼飲料)
◇FRESH CREAM(銀座クリーム)(生クリーム) |
◆白牛乳の商いは5〜6年で撤退
いっぽう、当初は無かった普通の牛乳についても昭和35年、「銀座乳業KK(杉並区上荻窪2-161)、市乳製造に乗り出すため小平町の工場を拡充」…と酪農史誌に記録されている。
荻窪・小平で各種飲料の製販を手掛け、力を蓄え、満を持して牛乳市場に参入。「プリンス牛乳」(Prince
Milk)、「シルバー牛乳」(SILVER MILK)の銘で売り出すが、激戦区にあって軌道に乗らず、昭和41年頃に生産を打ち切り。以降復活することはなかった。
◆掲載瓶・ビン製品の展開について
掲載(1)番、四角瓶の一面にアルファベットを並べたシンプルで無駄のないデザインは、山梨のキープ協会や、新潟の桃林舎をも凌ぐ純カントリー風の表情。東京銀座のミルクホールや街角のカフェーを想起させる?ハイカラな仕上がりだ。
これは白牛乳を始めた時代より幾分か古い出来。各種の乳酸菌飲料、色物専用だった可能性もある。当時は格別の標示ルールなく、瓶に刷られた「MILK」の文字だけでは内容物を判断しづらい。(2)番は「シルバー牛乳」向けで間違いないだろう。
昭和43年前後にできた所沢工場には、早期にポリ容器の充填ラインを設置。小平も追随したはずで、銀座乳業の瓶詰め商品は、漸次終息に向かった公算が大きい。また、晩年はOEMの割合が高く、自社アイテムの展開は局所的だったと思う。
― 参考情報 ―
銀座乳業の紙栓
(つばめ92号) / 同・紙栓
(牛乳キャップとは)
同・紙栓
(牛乳キャップ収集家の活動ブログ)
乳酸菌飲料トマト(三種)
/ ハニーヨーグルト
(MY MILK CAPS & COVERS)
「ゴールドミリオン」のコップ / 「ミルコ」の掛け紙
(牛乳グラス☆コレクション)