恐らくは戦後のご創業、基地の町・嘉手納にあった唯一のミルクプラント。本土復帰後、約10年で廃業され、銘柄は消滅している。
「空瓶は必ずお返し下さい」可愛らしい書体の注記は、往時の定番コピー。製瓶会社/乳業資材代理店のテンプレートだった。沖縄はもちろん、県外メーカーの採用も多い。例えば広島の中郷牧場さんは、その特大フォント版である。
◆沖乳連会について
堂々標示の「沖乳連会」(沖縄乳業連合会?)マークは、昭和40年代から平成に至るまで、県下の中小業者さんらが共通利用したシンボル。沖縄森永(ゲンキ乳業)や沖縄明治(オキコ乳業)など、内地の大資本進出に対抗すべく結成された団体だ。
協業の仔細は判然としないが、生乳・飼料の共同調達、集約製造、販売区域・小売価格の申し合わせ、学校給食の出荷調整に係る所もあったかも知れない。
◆参画会社・日の出印
漂流乳業の掲載では、仲本牛乳、大川牛乳、石川牛乳、東恩納牛乳さんらの瓶装に沖乳マークを確認できる。かつては宮平乳業さんも在籍、最盛期の加盟は10社を超えたようだ。各々独自の銘で商いつつ、「日の出印」を統一商標に掲げた様子もうかがえる。
去就不明ながら平成期に解散。こうした形の連携は全国的にも珍しい。知る限り、岡山県牛乳処理協同組合(⇒関連:寺山牛乳)が数少ない類例と思う。
― 謝辞 ―
往時の電話帳など、関連資料を和田(モリ)様よりご提供頂きました。