<ロゴマーク・ブランドの変遷>
「雪印」ブランドを決したのは組合の設立直後、大正15年。初めは「簡単な雪型に星を配した意匠」を用い「雪星印・北海道バター」を名乗った。ところが地元メーカーが「星印バター」(⇒星印牛乳)を既に商っており、商標登録不能と判明。
そこでデザイン担当者が、自らの母校・札幌第一中学校(旧制)の校章をモチーフに、北海道を象徴する北斗星を加え、現行の「雪印」マークを作った。札幌第一中は現在の札幌南高校。今も往時と似た雪の結晶・六華を校章に掲げる。
しかしその図案も「金章印バター」なる他社商標と類似し、登録上難があった。すでに乳製品の製造を止めていた所有者から150円で「金章印」を買い取り、ようやく「雪印」は陽の目を見たという。
昭和9年、市乳事業へ乗り出すが、ロゴは「雪印」ながら「酪連牛乳」銘で出荷。この頃の商号は北海道製酪販売組合連合会で、団体呼称を優先したらしい。いわゆる「雪印牛乳」の登場は、昭和14年頃になる。
ともあれ以降、「雪印」が完全定着。変化は(7)番瓶、昭和40年代初期にアルファベット表記「SNOW BRAND」を追加した程度。もともとバターのパッケージに入っていた英字書体を、全製品に統一展開したものか。平成の大騒動は別頁<4>にまとめる。雪印メグミルクの今も、「雪印」の結晶は不動の商標として健在だ。
◆姉妹ブランド・クロバーマーク
「クロバー印(バター)」は、もともと在道の大日本乳製品(株)(のち明治乳業傘下)が使っていた商標。雪印が連合会時代に利用権を得て、主に関西地方へ展開。販売戦略上、昭和14年に「雪印バター」の出荷に一本化、お蔵入りとした。
昭和25年、雪印は集排法を喰らって、会社を二分割。そのひとつである北海道バター(株)は「雪印」の権利を失い、ならばと「クロバー印」を復活させる。10年の空白を経てブランド認知は相当低下、当初は営業に苦しんだ。
主力商標封じの救済策も少しあった。発足後一年に限り「雪印」の併用が認められ、当面は全製品に「クロバー印」と「雪印」の両方を表示。併用期間中、北海道バター(株)は市乳事業の着手に至らず、2つのロゴが入った牛乳瓶は存在しない。北海道バター/クロバー乳業の仔細は次頁<2>へ譲る。
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