五條牛乳 (1)五條牛乳 (1) 五條牛乳 (2)五條牛乳 (2)
五條牛乳 (1)

五條牛乳(松本牧場)
奈良県五條市下之町258
東洋ガラス製・正200cc側面陽刻
昭和50年代中期〜廃業まで
五條牛乳 (2)

五條牛乳(松本牧場)
奈良県五條市下之町258
東洋ガラス製・正180cc側面陽刻
昭和50年代中期〜廃業まで

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戦後間もなくの創業以来、約45年間に渡って商われた、県南西部のローカル銘柄。晩年製造は学校給食用が中心。平成3年にやむ無く廃業され、ブランドは消滅している。

ほぼ同時期に中野牛乳(奈良市)さんも店仕舞い。もとより県下の処理場は淘汰・再編の進行が早く、平成12年に新庄牛乳(北葛城郡)とヨネダ牛乳(御所市)さんが撤退したことで、奈良の老舗はついに植村牧場さんを残すのみとなった。

◆市域の酪農・乳業事情

先駆は大正11年、野原町・片岡牧場さんの搾乳販売。後続は五條町新町に中島藤枝氏、そして昭和22年、本項の松本牧場さん開設に至る。

中島氏は戦中〜戦後に廃業。片岡さん方は昭和43年前後に明治乳業の販売店へ転換。五條では長らく「五條牛乳」が唯一の地場銘柄として親しまれた。

一帯は戦後の需要急増を受け、農家の副業に乳牛飼育が広まったところ。特に北宇智・大阿太エリアに酪農組合の勃興相次ぎ、生乳産地を形成。昭和33年、諸団体は五條市酪農協議会を発足、今なお県下有数の都市近郊酪農を手掛ける。

◆掲載瓶・キャッチフレーズについて

掲載の(1)番瓶は白牛乳、(2)番はコーヒー/加工乳向けの一合瓶。製瓶年の打刻は平成2〜3年で、いずれも最終世代だ。斜め上を目で追う?坊やの前髪に、“Matumoto”筆記体があしらわれ、洒落たワンポイントになっている。

キャッチフレーズは「坊やもママも毎日飲んで毎日元気!」。かつて滋賀・キムラ牛乳や、兵庫・大内牧場さんも採用のレトロな惹句。出典は判然としない。普及団体の掲げたスローガン、もしくは乳業資材代理店のテンプレートだろうと思う。

―謝辞―
五條牛乳さんの仔細につき、なお様、kazagasira様よりご教授・ご協力頂きました。

― 関連情報 ―
奈良県の畜産業 (奈良県公式ホームページ)
片岡牛乳〜片岡牧場 / 五條牛乳の宅配受箱 / 奈良県の牛乳キャップ5 (なおのブログ)
同・宅配受箱 (むにゅ’s のぉと) / 同・紙栓 (牛乳キャップ収集家の活動ブログ)


創業> 昭和22年、松本牧場として
昭31> 松本牧場・松本良憲/奈良県宇智郡牧野村
昭32> 牧野村は周辺町村と合併し五條市となる
昭34〜47> 松本牧場/奈良県五條市下之町258
昭48〜平04> 五條牛乳/同上 ※名簿上は廃業後も短期間残存
廃業> 平成3年
電話帳掲載・公式サイト> 未確認

処理業者名と所在地は、全国飲用牛乳協会 [牛乳年鑑1957年版]・食糧タイムス社 [全国乳業年鑑] 各年度版による。掲載情報には各種Webサイトや書籍資料(参考文献一覧)の参照/引用、その他伝聞/推測などが含まれます(利用上のご注意)。



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