商標検索〜特許電子図書館で牛乳探し


日本国のお墨付き、とある牛乳キャップの画像が政府ドメイン(go.jp)下に存在する。特許情報プラットフォーム(旧・特許電子図書館、経済産業省所管の独立行政法人が運営)データベース中、登録番号・第579153号に示されるイメージがそれだ。

第579153号
【商標】 雪印牛乳
【登録番号】 第579153号
【出願】 昭和33年3月
【権利者】 雪印乳業(株)

雪印乳業・熊谷工場の曜日キャップ、堂々のカラー掲載。雪印の銘に加え、紙栓のデザイン全体を商標登録したものか。出願年を鑑みればカラーコピーなどない時代、たぶん申請書類に現物をそのまま貼り付けてあるのだろう。

ついに電子化された平成の世に至り、経年劣化ですっかり黄ばんでいる。特許庁のどこか―提出書面の保管庫には、今もこのキャップが仕舞ってあるはずで、そう考えると何だか面白い。

非常に稀なケースだ。ずいぶん探したが、他にキャップの現物を載せた出願は見つからない。主流は文字情報のみ、ロゴマークやキャラクターのイメージも、粗い白黒図版ばかりである。とはいえ内容は変化に富む。好事家の目線で変り種をまとめてみた。

<おいしい牛乳対決>


明治乳業のスマッシュヒット「明治おいしい牛乳」。上々の売れ行きを傍観できず、後発の恥を忍んで?森永乳業は「森永のおいしい牛乳」を市場に投入した。

色々とおいしい牛乳

※右記載の登録情報は特殊記号を省略してある
【商標】 明治乳業おいしい牛乳
【登録番号】 第4639886号
【出願】 平成14年5月
【権利者】 明治乳業(株)

【商標】 わが家のおいしい牛乳
【登録番号】 第4309691号
【出願】 平成10年7月
【権利者】 日本ミルクコミュニティ(株)

【商標】 毎日大阪の美味しい牛乳
【登録番号】 第4248076号
【出願】 平成8年12月
【権利者】 日本酪農協同(株)

【商標】 HOTMILK森永の美味しい牛乳
【出願番号】 商標出願2006-107318
【出願】 平成18年11月
【出願人】 森永乳業(株)

ひと悶着起きそうな模倣だが、「おいしい牛乳」は一般的な表現で、特定固体の識別能力なく、商標登録ができない。例えばサントリーの「はちみつレモン」。ありふれた名詞の繋ぎ合わせに登録ならず、大ヒットにあやかった諸メーカーの同名商品が乱立した。

そこで明治は、自社の名前を冠して登録。森永には過去類似の登録あり、当初申請を見送るも、HOTMILK〜の接頭語をつけて出願。メグミルクは「わが家」でおいしい牛乳を勝ち取る。

関西の雄、日本酪農協同は「毎日・大阪の美味しい牛乳」を確保も、商品化には至っていないようだ。追加ワード次第で命運は分かれる。「北海道保証おいしい牛乳」や「環境にやさしい・おいしい牛乳」は無念の拒絶査定に散った。

「おいしい牛乳」で明治と森永が同名対決? (日本ネーミング&リサーチ)

<いかるが VS いかるが>

大阪には発祥・創業家を同じくする、いかるが乳業(株)(株)いかるが牛乳の2社が健在、互いに同銘「いかるが牛乳」を商う。地元の人ですら別会社と知らないこともあるらしい。そこで両社の所有商標を検索・比較したところ…。

いかるが乳業(株)の主要な登録商標VS(株)いかるが牛乳の主要な登録商標
画像左:いかるが乳業(株)の主要な登録商標 / 画像右:(株)いかるが牛乳の主要な登録商標

本家側・いかるが乳業(株)、圧倒的ぶっちぎりの“いかるが獲得”状況である。(株)いかるが牛乳は唯一「菓子,パン」の区分で“いかるが”の呼称を押さえるのみ、マスコットのかるちゃんが健気に走る。すべて昭和50年以降の登録申請、以前・以後の取り扱いは不明だ。

<しょうもないネーミング>

何が流行るか分からない時代…しかし確実に言える「それは無理だろう」と。わざわざ登録しなくても、誰も真似しないよ! と突っ込みたくなるのをぐっと堪え、ここにそっと晒しておきたい。

しょうもないネーミング
【商標】 オハヨ−グルト
【登録番号】 第2382163号
【出願】 平成元年4月
【権利者】 オハヨ―乳業(株)

【商標】 そんなバナナ
【登録番号】 第3365447号
【出願】 平成6年4月
【権利者】 日本ミルクコミュニティ(株)

【商標】 そりゃ骨だわ
【登録番号】 第2448223号
【出願】 平成2年4月
【権利者】 チチヤス(株)

<検索のコツ、情報の限界>

特許情報プラットフォームで検索を行う際には、いくつか留意すべきポイントがある。「検索用文字列」を含まず図版だけ登録の場合、キーワードで探すことができない。「ウィーン図形分類法」を用い、イメージを符号化すれば検索可能だが、ちょっと敷居の高いやり方だ。

とりあえず「出願人/書換申請者/権利者/名義人」に商号や個人名を打ち込み、全部見てしまうのが一番簡単。大企業は量が嵩むが、条件指定をしくじり漏らす心配がない。ただし結果表示は1,000件まで。多いときは第二条件(商標名称・商品区分)で絞る必要はある。

また、出願日時はその商標の誕生とイコールでないケースが多い。再登録の折に更新時点の日付が残る?のか。そして廃業した会社の申請など、失効分を過去に遡っての掲載もない。



漂流乳業