喜多酪牛乳 (1)喜多酪牛乳 (1) 喜多酪牛乳 (2)喜多酪牛乳 (2)
喜多酪牛乳 (1)

喜多酪農業協同組合
愛媛県大州市中村209
石塚硝子製・市乳180c.c.底面陰刻
昭和30年代初期
喜多酪牛乳 (2)

喜多酪農業協同組合
愛媛県大州市中村209
新東洋硝子製・正180cc側面陽刻
昭和30年代中期〜40年代初期

往年の喜多郡大洲町に発足。戦後15年間、一帯に商われた農系ミルクプラント。昭和42年、愛媛県酪連(四国乳業・らくれん牛乳)に市乳事業を移管。以降は生乳出荷に専念の体制に転じ、独自銘柄は廃止されている。

シンボルマークは「酪」の字を「キ」「タ」で丸く囲んだ構え。空き瓶を弄ぶ赤ちゃんの絵は、長野の山本牛乳本郷牛乳とそっくり。乳業資材代理店の定型素材だろう。

平成25年に南予酪農協(宇和島市、旧・南酪牛乳)を吸収合併。県下では愛媛酪農農協(東温市、旧・河南牛乳)とともに、今なお健在の酪農専門農協である。

◆市域の酪農黎明期

先駆は明治初期、米国より乳牛輸入を敢行した下井小太郎氏で、これは士族授産事業の一環だった。大正初年に村上牧場(のち大洲牧場)と谷脇牧場(のち旭牧場)が現れ、昭和8年には森牧場も出来、各々が搾乳販売を手掛ける。

このころ養蚕依存から脱却すべく、周辺農村は多角化を模索し始めた。上記の牧場が農家に乳牛飼養を委託したことで、一帯に酪農の営みが浸透していく。

昭和9年、伊予大洲乳牛販売購買利用組合が成って、農民自ら市乳販売に乗り出す。16年には県農会・喜多支部が、食糧増産・軍事用カゼイン製造のため、乳牛1,000頭の振興計画を発起。しかしいずれも成果は乏しく、不調に終わった。

◆喜多酪農協の誕生

戦後は昭和25年に至っても、喜多郡下の乳牛は160頭ほど。今ひとつ伸び悩んだが、各集落に酪農組合が結成され、徐々に復興・成長を遂げる。28年、大洲、菅田、三善、白滝の4組合が合併、ついに喜多酪農業協同組合が誕生。

前身組合の事業仔細は不明ながら、とにかく喜多酪農協は直ちにミルクプラント経営・市乳処理に着手。掲載の独自ブランド「喜多酪牛乳」を売り出した。

大洲および周辺郡市は昭和30年、農林省・南予集約酪農地域指定を受け、各種助成の恩恵にあずかる。37年には明治乳業が進出、大洲工場を設置。酪業は急速に発展した。

◆業容拡大・らくれん牛乳へ

喜多酪の商いは順調で、販売量の拡大に生産が追い付かないこともあった。一時は肱川酪農牛乳処理場(喜多郡肱川町、肱川農協の酪農部門)を借り受け、肱川支部(分工場)とし、増産体制を敷いた様子もうかがえる。

しかし市況の変動や中央酪農政策は、県下畜産の集約を強く促し、地域ごとに散在する農系プラントの合理化・基盤強化が共通認識となっていく。

昭和40年、愛媛県酪農業協同組合連合会(県酪連)の設立に参画。喜多酪農協の生産拠点は県酪連・大洲工場に転換。間もなく組合単位の市乳事業は、新ブランド「らくれん」に全部統合され、「喜多酪」銘は消滅。大洲工場も閉鎖に至っている。

― 関連情報 ―
喜多酪農業協同組合の紙栓 (牛乳キャップ収集家の活動ブログ)
喜多酪農(現・大洲らくれん) (もぐら) / 同・宅配受箱 (牛乳箱を訪ねて)
「喜多酪農前」バス停(大洲市) (愛媛・南予発!いいとこなんよ)
喜多・南予酪農協、組合員減少で合併へ (愛媛新聞)


■喜多酪農協
設立> 昭和28年、喜多酪農業協同組合として
昭29> 喜多郡大洲町は周辺9村と合併し、大洲市となる
昭31> 喜多郡酪農協・山本伊平/愛媛県大州市中村209
昭34〜36> 喜多郡酪農業協同組合/同上
昭39〜40> 喜多酪農業協同組合/愛媛県大洲市若宮町1430-1
昭40> 県下の酪農団体が糾合し、愛媛県酪農業協同組合連合会を発足
昭41〜42> 愛媛酪農協 大洲工場/同上
昭42> 喜多酪農協の市乳事業は県酪連に移管される
昭43> 同上
電話帳掲載> 「愛媛県酪連 南予指導事務所」「喜多酪農業協同組合」/同上
独自銘柄廃止・工場閉鎖> 昭和43年前後
公式サイト> http://www.rakuren.co.jp/ (四国乳業・愛媛県酪連)

■肱川支部 <参考>
開設> 昭和32〜33年頃、肱川農協・酪農部による
昭34〜36> 肱川酪農牛乳処理場/愛媛県喜多郡肱川村宇和川字久下
                 ※肱川村は昭和34年に町政施行している
昭39〜40> 喜多酪農協 肱川支部/愛媛県喜多郡肱川町山鳥坂甲14
昭41> 肱川農業協同組合/愛媛県喜多郡肱川町山鳥坂甲13
平11> 肱川農協は周辺4農協と合併し、愛媛たいき農協となる
平17> 肱川町は周辺市町村と合併し、(新)大洲市となる

工場閉鎖> 昭和42年前後
電話帳掲載> 愛媛たいき農協 肱川中央支所/愛媛県大洲市肱川町山鳥坂56
公式サイト> http://www.ja-ehimetaiki.or.jp/ (JA愛媛たいき)

処理業者名と所在地は、全国飲用牛乳協会 [牛乳年鑑1957年版]・食糧タイムス社 [全国乳業年鑑] 各年度版による。電話帳の確認は平成20年時点。掲載情報には各種Webサイトや書籍資料(参考文献一覧)の参照/引用、その他伝聞/推測などが含まれます(利用上のご注意)。



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