組合牛乳組合牛乳 延酪牛乳 (1)延酪牛乳 (1)
組合牛乳

延岡酪農業協同組合
宮崎県延岡市日の出町
広島硝子工業製・正180cc側面陽刻
昭和30年代中期
延酪牛乳 (1)

延岡酪農業協同組合
宮崎県延岡市大貫町3027
ユニオン硝子工業製・正180ml側面陽刻
昭和40年代中期〜後期

延酪牛乳 (2)延酪牛乳 (2)

(記事下段)

延酪牛乳 (2)

延岡酪農業協同組合
宮崎県延岡市大貫町3027
石塚硝子製・正200cc側面陽刻
昭和50〜60年代

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戦後の延岡に50年ほど商われた専門農協さん。当初の銘は「組合牛乳」、のち「延酪牛乳」に転じ、地元メーカーとの協業・共販では「はまゆう」ブランドを掲げた。

昭和60年頃に「はまゆう」提携から離脱、平成21年に至って組合は解散も、日向市の丸山乳業社さんが関連事業を継承、「延酪」ブランドは今も残る。

◆醤油工場の隣に組合牛乳が誕生

延岡は戦前より牧場経営・搾乳業の盛んなところだが、主に個人の起業であり、酪農団体の発祥は遅い。乳牛を持つ農家が増え始めたのは昭和30年頃。ご当地の東海農協に所属する牛飼いを中心に、同33年、ついに延岡酪農協が興る。

延岡酪農は日の出町にあった東海農協・醤油工場の敷地内にミルクプラントを併設。飲用牛乳の処理販売に臨み、掲載の「組合牛乳」を売り出した。

◆日の丸と協業・はまゆう牛乳の共同販売

工業圏ゆえ消費人口は多い。しかし間もなく中央資本や九州乳業(みどり牛乳)が本格的に進出。販売競争は熱を帯び、組合は経営合理化・処理施設の増強を迫られる。

そこで昭和47年、平原町の山本牧場(日の丸牛乳)と提携。組合と牧場の折半出資で(有)はまゆう牛乳舎を設立、新鋭工場を落成。48年には両者とも市乳の自家製造を中止し、統一ブランド「はまゆう牛乳」の集約処理・共同販売へ移行した。

協業は時勢に合って大きく伸び、市内に40%のシェアを獲得。延岡酪農は原料乳生産・集配センター(販社)業務に専念の体制を固め、また、この間に大貫町へ移転した。

◆はまゆう分裂・組合は自主路線へ回帰

ところが昭和60年頃、新会社で経営方針を巡る対立・内紛が生じると、延岡酪農は「はまゆう」共販を打ち切り、従前同様の自主路線へ回帰の方針を採る。

組合の自工場は当時、特定の乳製品の加工に特化していた?ため、「はまゆう」工場へ飲用乳の処理・瓶詰めの委託は継続しつつ、森永宮崎乳業などへも一部アイテムの生産を外注した。以降も基本的に、牛乳類の製造は他社へ任せている。

◆組合の解散とその後のブランド展開

近年は酪農家の廃業相次ぎ、組合員・乳牛飼養頭数が急減。延岡酪農協の維持・運営は難しく、平成21年に解散。およそ半世紀の歴史に幕を閉じた。

生乳生産・購買・指導の各事業はJA延岡(現・JAみやざき)が吸収。旧組合員さんらは同農協の生産部会(JA延岡酪農振興会)として合流し、現在なお活動中だ。

いっぽう直販部門は丸山乳業社さんが譲受。延酪ブランドは、ほぼそのままの形で存続を果たした。もとより延酪牛乳は、幾度かの委託先変更を経て、組合解散の時点では譲渡先の丸山さんが製造を請けていたから、自然な流れだろう。

◆丸山乳業社さんの延酪牛乳として

丸山さんは事業継承後も、延酪時代のビンを引き続き用いた。古き良き酪農協のシンボルマークは古今変わらず。“酪”の字を囲む二重の円、外周は“の”、内周は“べ”の字を、それぞれ丸くデフォルメした感じか。(⇒延酪牛乳 200ml ビン/牛乳トラベラー)

ただ、この瓶には既に無き組合の名前・住所が載っており、標示上の問題はありそうだ。リユース限界まで使い回したあと、将来的に丸山乳業社さん仕様へ適宜更新されていく?と思う。(令和2年追記:「延酪」ブランドは紙パックのみ存続、瓶装は廃止?となった)

― 参考情報 ―
延岡酪農業組合が解散 / 延岡酪農譲渡で調印式
22番目の生産部会誕生-JA延岡
(夕刊デイリーWeb)
延岡酪農協の紙栓 (牛乳キャップ収集家の活動ブログ)
同・紙パック製品 (愛しの牛乳パック)
JA延岡酪農振興会・宮日農業技術賞に輝く (JAだより-2013年2月号)


設立> 昭和33年、延岡酪農業協同組合として
昭34〜44> 延岡酪農組合/宮崎県延岡市朝日町 ※日の出町の誤り?
昭46> 山本牧場との共同出資で、(有)はまゆう牛乳舎を別途設立
昭46〜47> 延岡酪農業協同組合/宮崎県延岡市大貫町3027
昭48〜53> はまゆう牛乳に製造を集約、自工場の稼働なし
昭56〜平13> 同上/宮崎県延岡市大貫町2-3027 ※乳製品工場として
※昭和60年に限り牛乳工場として一時復活、その頃「はまゆう牛乳」を離脱か
電話帳掲載> 同上 ※平成19年時点
組合解散> 平成21年

処理業者名と所在地は、食糧タイムス社 [全国乳業年鑑] 各年度版による。掲載情報には各種Webサイトや書籍資料(参考文献一覧)の参照/引用、その他伝聞/推測などが含まれます(利用上のご注意)。



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