冨士牛乳冨士牛乳

(記事下段)

冨士牛乳

富士牛乳(株)
静岡県熱海市熱海1087
徳永硝子S29年製・市乳180cc底面陰刻
昭和20年代後期〜30年代初期

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市域に展開した、往年の地場メーカー。会社法人の設立は戦後だが、経営史は少なくとも戦前に遡り、地元の搾乳業者さんらが時局に応じて作った統制組合が前身と見られる。中途でオーナー交代も生じており、正確な起源は良く分からない。

昭和40年前後に製造より撤退。明治森永グリコなど他社製品を扱うベンダーさんに転換し、独自ブランドは消滅。現行電話帳には富士牛乳(株)各メーカー販売店の名義に加え、工場の跡地活用と思しきアパートが複数併載されている。

◆熱海のミルクプラント今昔

記録に残る熱海の老舗牛乳店は、明治29年創業の熱海牛乳舎(清水町・湯原福太郎氏)と、同35年にできた精乳舎(熱海町水口・青木村次郎氏)の2軒。いずれも温泉旅館主の副業らしく、入湯客の需要を満たすべく発起とうかがえる。

戦後の市域には本項の冨士牛乳に加え、イセイ牧場(伊豆山)、川口牧場(下多賀)、三和乳業(同)さんらが処理直売を手掛けた。今も銘を残すのは三和牛乳のみ。それも静岡牛乳協同組合(⇒関連:大庭牛乳)への委託で、地元の牛乳工場は絶えて久しい。

― 関連情報 ―
新撰熱海案内 (熱海市立図書館デジタルライブラリー)


創業> 不明
昭09> 中村周一/静岡県田方郡熱海町
昭12> 熱海町は隣村と合併し、熱海市となる
昭22> 熱海牛乳施設組合・中村周吉/静岡県熱海市熱海1087
昭26> 熱海ミルクプラント/静岡県熱海市水口
昭27頃> 富士牛乳(株)が発足?
昭31〜39> 富士牛乳(株)・内藤蔵次郎/静岡県熱海市熱海(水口)1087
電話帳掲載> 「富士牛乳(株)森永牛乳熱海販売店」「同・明治牛乳熱海販売店」
                   「内藤アパート」/静岡県熱海市水口町11-38
自家処理撤退・独自銘柄廃止> 昭和40年前後
公式サイト> 未確認

処理業者名と所在地は、[全国工場通覧]・[静岡県県政概要]・全国飲用牛乳協会 [牛乳年鑑1957年版]・食糧タイムス社 [全国乳業年鑑] 各年度版による。電話帳の確認は平成23年時点。掲載情報には各種Webサイトや書籍資料(参考文献一覧)の参照/引用、その他伝聞/推測などが含まれます(利用上のご注意)。



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