昭和の牛乳瓶と―ALWAYS 続・三丁目の夕日―


<作中で登場するのは森永フルーツ牛乳>

好評を博した昭和の人情活劇、堂々の続編。2007年11月公開の同作に、撮影用の小道具として牛乳瓶の貸し出しをさせて頂きました。

物語設定の昭和34年に流通した森永牛乳の一合瓶が、作中の銭湯(湯上り)のシーンにおいて、かろうじて?見えるはずです。当サイト、森永牛乳の項に(6)番瓶として掲載中のもので、往時は白牛乳・コーヒー・フルーツ等の共通瓶装でした。

撮影用にお貸しした森永の瓶、全て日本硝子製。製瓶会社略号は底面陰刻。
撮影用にお貸しした森永の瓶、全て日本硝子製。製瓶会社略号は底面陰刻。

銭湯のシーンは東京都国分寺市の「孫の湯」さんでロケが行われ、鈴木オート一家が森永フルーツ牛乳を飲む、そんな趣向らしいですが…手に持って飲めば、はっきりとは写らない。それでも昔の現物を確保して臨むあたり、コレクターも驚くこだわりです。

<瓶をお貸しする際に、ご担当者様に聞いてみました>

◆数あるなかで「森永」が選ばれた理由は?

同時期の大手乳業の瓶(明治乳業雪印乳業など)を見比べた結果、一番作品のイメージに近い、懐かしいデザインということで選ばれたそうです。

[MILK CAP〜牛乳ビンのふたの本] 監修の和田安郎氏や、同じく牛乳キャップ収集家で、自分も度々お世話になっているkazagasira氏も貸し出し・考証協力されており、「牛乳瓶一本を用意するのに、ここまでするのか」と突っ込みを入れたくなるほど。

撮影用に準備が整った牛乳瓶、演者の手に渡る前にミルトンで消毒済み同じく開口部、カラーコピーで複製・模造されたキャップと、ビニールフードが嵌っている
写真左:撮影用に準備が整った牛乳瓶、演者の手に渡る前にミルトンで消毒済み
写真右:開口部、カラーコピーで複製・模造のキャップと、ビニールフードが嵌っている

◆関係企業への問い合わせも不調多数

もちろん関係企業(乳業、ガラス瓶メーカー)にも問い合わせ。しかし当時の現物・資料は残っていなかったとか。たぶん今の広報部さんが把握している昔話は、刊行済み社史の内容が限界。それ以上はOBの方に頼らないと難しいようです。

牛乳以外にも無数の小道具が要ります。運良く該当企業に創業当初の古い商品パッケージがあっても、昭和30年代の版が欠落の場合も。全世代を揃えて保管は稀なのでしょう。

ロケ先の銭湯に持ち込まれた、森永ホモ牛乳の木製ベンチ。瓶の返却時に頂戴した記念品。エキストラさん等に配布されていたもの。
写真左: ロケ先の銭湯に持ち込まれた、森永ホモ牛乳の木製ベンチ。
(背もたれのホーロー看板のみが当時モノで、骨組み・木版は板金屋さんの後付け)
写真右: 瓶の返却時に頂戴した記念品。エキストラさん等に配布されていたもの。

◆小道具の準備・時代考証に注力

話題作の続編ゆえ予算は潤沢。前作のセット・小道具に「各ジャンルの好事家」から様々な突っ込みが入ったこともあり、普通の映画では考えられないほど細かく追及の由。

トリスのノベルティー楊枝入れ、ウィスキー瓶、動物用注射薬のアンプル、ももの花(ハンドクリーム)の容器、箱入り三菱鉛筆、渡辺のジュースの素…確保には相当なご苦労があったようです。雑巾を手縫いで用意されていたのには仰天しました。

とはいえ、当時モノを調達できないアイテムは少なからず存在。写真資料やOBへの聞き取り調査、近しい時代の現物に基づき、新たに製作したものも多いそうです。

― 関連情報 ―
ALWAYS 続・三丁目の夕日 (東宝 WEB SITE)



漂流乳業