大野牛乳大野牛乳

(記事下段)

大野牛乳

(資)大野牛乳店
福島県いわき市植田横町29
日本硝子製・正180cc側面陽刻
昭和40〜50年代

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創業は大正7年。市域に長く商われる、老舗の牛乳屋さん。平成19年前後に自家処理より撤退、以降は東北協同乳業に製造を委託。ビンは東北協乳の汎用品、紙栓だけは「大野」銘のオリジナル…という包装形態に変わっていた。

しかし平成23年、東日本大震災の影響を受け、東北協乳は瓶詰めを廃止。恐らく少量受託の大野牛乳も生産を打ち切り、独自ブランドは消滅に至った?と思われる。現在は従前より併売の酪王ブランドや、雪印製品の販社さんとして営業が続く。

◆掲載瓶・勿来のメーカーについて

掲載は昭和40〜50年代に流通の、自社180cc赤瓶。これは白物・色物共用か、それとも乳飲料・加工乳の専用瓶装だったのか、今ひとつ良く分からない。

戦後の旧・勿来市には、宮下乳業さんと県立磐城農業高校(磐農牛乳)の2工場も稼働。前者は昭和44年前後に販売店へ転換、後者は平成10年代に飲用乳の生産実習・頒布を中止。本項の大野牛乳さんが、最後まで名前を残したところになる。

◆いわき・勿来の酪農発達史

いわき地方の乳牛導入は明治27年、岡田牛乳さんの開業を先駆とし、大いなる助走期間を経て、昭和15年頃までに多数の牛乳店が勃興。原料自給が需要に追い付かず、農家に乳牛を貸し付け、その生乳を買い上げたことで酪農の営みが広がっていく。

福島東部、勿来エリアの畜産は戦後に急成長。昭和40年代には乳牛650頭の産地を形成。広域合併で誕生したいわき市にあって、最大規模を誇ったという。

― 参考情報 ―
大野牛乳 (乳業探訪記) / 大野牛乳の紙栓 (牛乳キャップとは)
同・紙栓 (牛乳キャップ収集家の活動ブログ) / 同・景品コップ (牛乳グラス☆コレクション)


創業> 大正7年
昭09> 大野武吉/福島県石城郡植田町
昭30> 植田町は周辺町村と合併し、勿来市となる
昭31> 大野ミルクプラント・大野武春/福島県勿来市植田町横町29
昭36> 植田ミルクプラント/福島県勿来市植田町大字植田字横町
昭39〜41> (資)大野牛乳店/福島県勿来市植田横町29
昭41> 勿来市は周辺市町村と合併し、いわき市となる
昭42〜43> 同上/福島県いわき市植田横町29
昭44〜47> 同上/福島県いわき市勿来植田字横町29
昭48〜51> 同上/福島県いわき市植田町字横町29
昭52〜56> (資)大野ミルクプラント/同上
昭58〜平13> (資)大野牛乳/同上
電話帳掲載> 同上
自家処理撤退> 平成19年前後、以降は東北協同乳業へ製造委託 ※現況不明
公式サイト> 大野牛乳としては未確認

処理業者名と所在地は、牛乳新聞社「大日本牛乳史」・全国飲用牛乳協会 [牛乳年鑑1957年版]・食糧タイムス社 [全国乳業年鑑] 各年度版による。電話帳の確認は平成21年時点。掲載情報には各種Webサイトや書籍資料(参考文献一覧)の参照/引用、その他伝聞/推測などが含まれます(利用上のご注意)。



漂流乳業