掲載の2本は倉敷市内の清涼飲料水メーカーで用いられた、大型王冠栓タイプの六角びん。日本食品工業さんと倉敷鉱泉さんの、様々なラインナップを賄った汎用瓶装だ。いずれも厳密には「牛乳瓶」でないが、往時の関連資料として参考掲載する。
◆大口径王冠仕様のびん
飲み口の形状は王冠打栓を受ける二段構え。紙キャップによる封緘は非対応。開口部の内径に段差がない。丸瓶・角瓶のバリエーション、高さ・直径は通常の牛乳瓶とほぼ同じだ。(⇒関連:牛乳瓶の全体形状/開口部形状の種類と変遷について)
昭和30〜50年代、主に乳飲料やジュース類の容器として広く流通したもの。特集-りんご牛乳の項を見れば、かつて好んで採用された様子が良く分かる。
◆日本食品工業さんについて
日食さんは昭和45年前後に廃業、既にブランドは残っていない。掲載の瓶は底部に「市乳」打刻をともなう。同種の後継品には確認できず、最初期の印刷瓶だろう。
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画像左:日本食品工業の瓶に貼ってあった紙ラベル(蜂蜜牛乳)
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ビンの肩口には商品名を記した紙ラベル(蜂蜜牛乳・りんご牛乳など)を貼り付けたらしい。往時は大阪、岡山、倉吉の3市に支店を構え、アイスや菓子類も手掛けた。
◆倉敷鉱泉さんについて
今も当地に商いが続くのは倉敷鉱泉さん。創業は明治末期、老舗のラムネ屋だ。昭和30年代にソースや蒟蒻の製造に着手、商材の多角化が進んでいる。
果たしてアオイミルクとは、どんな飲み物だったのか…現在は定番のラムネと、各種調味料(倉敷味工房)の販売が中心。上掲のような一合瓶に詰めた、甘い乳飲料・ジュース類は廃止されて久しい感じである。(⇒会社案内/倉敷鉱泉株式会社)
― 関連情報 ―
日食キャラメルのポスター (永森書店) / アオイミルクの里帰り (ジャンボフェニックス)