（記事下段）

創業は明治35年、津久見湾を間近に臨む、県東部の老舗。大分では岡部牛乳社・中村牧場（富士ミルク）に次ぐ古参で、開祖は獣医さんだった。地元中心の小規模な商いゆえ、情報は少ない。販売店への転換を経て、平成期に廃業のごようすだ。

一合瓶が入手できず、500cc瓶を参考掲載。屋号は「板」の字を分解して井桁にあしらった構え。ビンは高さ20センチ、最大直径7センチ。砲弾のようなフォルムが特徴的。現行の大瓶は720/900ccが主流、このタイプはあまり見なくなった。

◆乳業協同組合・豊翔への参画

平成5年、古山乳業（大分市佐賀関）さんを筆頭に、東邦乳業（大分市政所）、富士ミルク（豊後高田市）、本項の板井牧場さんの4社が提携し、乳業協同組合「豊翔」を設立。古山さん工場で一括製造を行う新ブランド「豊翔牛乳」を立ち上げた。

「豊翔」は、各社が受け持つ学校給食用委託乳を集約する協業体。恐らく板井さんは組合発足を機に自家処理を漸次縮小・廃止。晩年はみどり牛乳の請け売りで宅配・市販分を賄い、学乳は「豊翔」から調達のベンダーに転換したようだ。

組合結成による合理化は一定の成果を挙げたと思う。しかし少子化の進行で市況さらに厳しく、平成22年に「豊翔」は解散。残余業務は古山乳業さんが吸収する。板井牧場さんはその数年前に廃業（組合を離脱）されていた？かも知れない。

― 参考情報 ―
農民的ミルクプラントの存立と経営戦略に関する研究 （酪農学園大学）
板井牧場の紙栓 / 古山乳業・豊翔 （牛乳キャップ収集家の活動ブログ）
古山乳業・乳業協同組合豊翔の紙栓 （牛乳キャップとは）

創業＞ 明治35年
昭12＞ 板井村太／大分県北海部郡津久見町
昭26＞ 津久見町は周辺3村と合併し、津久見市となる
昭31＞ 板井牧場・板井はる／大分県津久見市津久見浦
昭34〜44＞ 板井牧場／同上
昭46〜51＞ 同上／大分県津久見市高洲町12
昭52〜61＞ 板井牧場（有）／大分県津久見市高洲町12-2
昭62〜平04＞ （有）板井牧場／同上
平05＞ 地場メーカー4社の合資により、乳業協同組合・豊翔を設立
平22＞ 乳業協同組合・豊翔は解散、諸事業は古山乳業が継承
電話帳掲載＞ 「（有）板井牧場」「みどり牛乳津久見販売店」／同上 ※平成12年時点
自家処理撤退・独自銘柄廃止＞ 平成5年前後？
廃業＞ 平成13〜18年頃？
公式サイト＞ 未確認

処理業者名と所在地は、[大分県商工名鑑]・全国飲用牛乳協会 [牛乳年鑑1957年版]・食糧タイムス社 [全国乳業年鑑] 各年度版による。掲載情報には各種Webサイトや書籍資料（参考文献一覧）の参照/引用、その他伝聞/推測などが含まれます（利用上のご注意）。