西宝牛乳西宝牛乳

(記事下段)

西宝牛乳

西宝牛乳処理場⇒(有)西宝牛乳
愛知県蒲郡市三谷町字西畑52
東洋ガラス製・正180cc側面陽刻
昭和50〜60年代

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恐らく戦後のご創業、当地に約70年の歴史を刻むローカル乳業さん。取り扱いは大小ビン製品のみ、市域の宅配専門。状況次第では工場直売も可。古い牛乳箱には「愛栄舎牧場」の名乗りも見え、自家搾乳にて商ったメーカーさんらしい。

「西宝」は往時の地名に由来。所在の三谷町は昭和29年の町村合併で蒲郡市となるが、それ以前は宝飯郡(ほいぐん)に所属。郡下を東西に分け、東宝/西宝地方と呼んだ名残り。「愛栄舎」も“愛知に栄える”とか、土地に根差した命名だろう。

掲載の一合瓶は前後で電話番号が異なる謎仕様。工場と事務所の使い分けか。現行瓶もほぼ同じデザインで存続。蒲郡界隈唯一のミルクプラントで、まさに町の宝だ。

(追記)令和3年より休業中とのこと。現況不明。(⇒西宝牛乳の製造が休止に/牛乳キャップ収集と販売情報)

◆「牛乳」の無い牛乳屋さんとして

種類別・加工乳(西宝ミルク)と乳飲料(西宝コーヒー)の2種だけをラインナップ、成分無調整の白牛乳がない。今や全国的に珍しい業態を貫く。前者は「西宝(ホモ)牛乳」の呼称が、平成13年の標示規約改正で「ミルク」に変わったものだ。

昭和20〜30年代、原料乳不足の折柄、消費者人気も手伝い、各地の乳業で同様の商品展開がなされた。しかし充分量の調達が容易になると、自然志向と相まって生乳100%が一般化。この流れに逆らい今日へ至った感じである。

「西宝ミルク」の乳脂肪分は、平成期まで3.0〜3.3%、普通の牛乳と同じくらい。現在は3.8%と若干濃厚路線。通常、加工乳は生乳に脱脂粉乳・バターやクリームを混ぜる。いっぽう西宝さんは生乳+全粉乳で調製されており、この点も昔ながらだ。

(追記)平成30年頃、ついに加工乳を廃止され、種類別:牛乳の「西宝牛乳」に切り替わった。成分無調整で乳脂肪分3.8%以上の原乳を調達可能なことから、もはや加工する必要もない、ということかも知れない。(⇒愛知県蒲郡市・西宝牛乳さんへ4度目の訪問/seinyusha@twitter)

― 参考情報 ―
西宝牛乳の情報 (ごった煮) / 西宝牛乳 (乳業探訪記)
西宝牛乳の紙栓 (牛乳キャップとは) / 同・紙栓 (牛乳キャップ収集家の活動ブログ)
西宝ミルク180mlビン (牛乳トラベラー) / 西宝牛乳の宅配受箱 (古今東西舎)
蒲郡・西宝牛乳 (自家焙煎珈琲喫茶スロース)


創業> 不明ながら戦後?
昭31> 西宝牛乳処理場・中西真次/愛知県蒲郡市三谷町西畑
昭34〜60> 西宝牛乳処理場/愛知県蒲郡市三谷町字西畑52
昭61〜平04> 同上/愛知県蒲郡市三谷町西畑52
平13> (有)西宝牛乳/同上
電話帳掲載> 同上
公式サイト> 未確認

処理業者名と所在地は、全国飲用牛乳協会 [牛乳年鑑1957年版]・食糧タイムス社 [全国乳業年鑑] 各年度版による。電話帳の確認は平成19年時点。掲載情報には各種Webサイトや書籍資料(参考文献一覧)の参照/引用、その他伝聞/推測などが含まれます(利用上のご注意)。



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