戦後60〜70年ほど町域・郡域に商われた、伊勢志摩のローカル銘柄。かつて志摩郡にあったミルクプラント5軒のうち、粘り強く最後まで残ったメーカーさんだが、平成26年に廃業され、銘柄は消滅。販路は戸別宅配が中心で、現役当時を伝える情報はあまり多くない。
◆植村農園の牛飼いと牛乳販売
掲載瓶に大きくあしらわれた「房」の字は、創業者である植村房生氏のお名前から来ている。氏は昭和23年、自らの農地に乳牛を一頭入れ、搾った乳を自家消費する傍ら、戦時に荒廃した田畑再生のため、厩肥を耕作に利用したという。
間もなく、近隣から牛乳の引き合いが増えたと見え、翌24年には簡易工場を据えて飲用牛乳の直売に着手。自家搾乳・自家処理の営みが始まった。さらに植村氏の牛飼いを契機として、町全体に乳牛導入の輪が広がっていった。
昭和43年に至っては、植村氏を含む農家9戸で南張酪農組合を結成、一帯で約300頭の飼養規模に発展。もちろん植村農園さんにその全量を捌き切るだけの販売量はなく、組合の生乳出荷先としては、大内山酪農農協(度会郡大紀町)がメインだったようだ。
― 関連情報 ―
浜島町南張
(ウィキペディア)
植村農園の紙栓
(牛乳キャップ収集家の活動ブログ)
植村農園(廃業)
(牛乳キャップ収集と販売情報)