沿革不詳も、少なくとも戦前より商われた、県北のローカル銘柄。江南市にあった唯一のミルクプラントと思われる。昭和39年前後に製造を中止。当初は牧場主さんの苗字を冠した「杉本牛乳」、晩年は地名を引いて「江南牛乳」銘での出荷だった。
丸に八の字の屋号は尾張徳川家の合印(簡易略章)。名古屋の市章でもあり、当地では馴染み深いマーク。牧場名「松蔭舎」の名乗りは、尾張藩士の家に生まれ、幕末〜明治前期に活躍した国学者・植松有経の号「松蔭(舎)」に因んだものだろう。
・松蔭舎植松有經、和歌 (黄虎洞中國文物ギャラリー)
・植松有経 (國學院大學21世紀COEプログラム)
過去、所在一帯の畜産は、定番のカイコとニワトリに加え、養豚が主流。牛の飼育は極めて限られた。昭和9年頃の記録によると、豚が1,200頭に対し、牛は僅か10頭ばかり。たぶんこのうちの多くを、本項の松蔭舎牧場・杉本さんが繋いでいたはずだ。
― 謝辞 ―
江南牛乳への改称等について、kazagasira様よりご教授頂きました。
― 関連情報 ―
松蔭舎杉本牧場の紙栓 (牛乳キャップ収集家の活動ブログ)
江南牛乳のノベルティーコップ (のりたまホームページ)