終戦後、街の看板やマッチラベルに重宝されたミッキーマウス。事実上のフリー素材だった時代は確かに存在していた。その大半は下手糞な模写、時に少々のオリジナル要素が加わる。故に一線を超えた相似性を持つものは意外と少ない状況…ではあった。
ところが、スワ牛乳のミッキーはどう見ても…原典のイラストをそのまま忠実にトレースしたのか、むしろ潔い。デッドコピーの極み、製瓶会社もよく受注した、感動した!版下の作成時にディズニーの絵本か何かを直接引き写していたのだろうか?
ご当地に健在の新潟・諏訪乳業の初期印刷瓶と推測しているが、標示の電話番号が
[全国乳業年鑑]
上のそれと一致せず、或いは同様銘柄を商う全く別のメーカーかも知れない。
一方 どでかい牛乳瓶を両手に捧げ持つ渡辺牛乳のミッキー。スワ牛乳のそれに比べれば鼻の部分が白抜きになっているなど
“自家製造”
の匂いも感じられる。全体的には初期のミッキーマウスに近い絵だろうか。これならオッケー?の筈はなく、禁断のアウトローびん認定は免れない。
古き良きディズニー草創期のタッチを彷彿とさせるのは東城牛乳(東城酪農牛乳)のミッキー。昭和30年代中期の瓶装ながら、終戦のどさくさ・インチキミッキーテイストを受け継ぐ貴重な一本。思い出しながら描いたような中途半端っぷりに、ウォルトディズニーも思わず訴訟を断念か?
渡辺牛乳のミッキーと同じくビッグなボトルを持った木村牧場の蝶ネクタイ男は出典を明らかにできなかったものの、何らかのアメリカン・コミックから登場人物を借用したものと見られる。
というのも、木村牧場さんは昭和30年代出来と思しきノベルティーコップに、ポパイの絵をそのまんま使っていた
「前科」
が確認されているのだ。怪しむな、と言うほうが無理だろう。
(この項下段に続く)