農協牛乳(北陸乳業)

(記事下段)

農協牛乳(北陸乳業)

北陸乳業(株)アイ・ミルク北陸(株)
石川県七尾市八幡町ほ36
石塚硝子製・正200cc側面陽刻
昭和60年代〜平成5年頃

生乳流通・市乳処理の大規模化・合理化を実現し、地域一帯の需給調整を担う旗艦工場となるべく、昭和46年に設立。出資者は全農・農畜産業振興事業団を中心に北陸三県・生産者団体など多岐に渡る。

傘下ではもともと石川県経済農業協同組合連合会が七尾と金沢で市乳処理を行っており、それぞれ「七尾牛乳」「経済連牛乳」「金沢牛乳」などを商っていたようだ。北陸乳業はこれらの事業を核として七尾側に工場を新設、集約・継承。新たに「農協牛乳」ブランドで展開を始める。以来県下最大のシェアを誇る北陸エリアの中核プラントとして重責を担ってきた存在だ。

北陸乳業の設立趣意は、大分の九州乳業(みどり牛乳)や愛媛の四国乳業(らくれん牛乳)等に同じ。いずれもエリア一帯をフォローする大規模受け入れ工場、酪農振興を目指した官民・農協連合によりスタートしている。施策会社色の濃い事業体である。

◆ロゴマーク・ブランドについて

石川県の学校給食用委託乳の5割以上を「農協牛乳」が占めていたこともあり、地元での知名度は抜群だろう。ありふれた銘柄だが、丸みを帯びたレタリングが特徴的で妙に印象に残る。掲載瓶には姿が見えないものの、農協マークに石川県経済連の頭文字「I.K」を組み込んだオリジナルのトレードマークが制定されており、北陸乳業時代も継続して使われていた。

石川県経済連のキャップ (牛乳キャップ昭和時代)
北陸乳業のキャップ (牛乳キャップ収集家の活動ブログ)
石川県の牛乳キャップ (牛乳キャップとは?)
農協牛乳のスポンサーベンチ (旧車生活、始めました!)

平成10年代?に無地の軽量新瓶+紙キャップ+シュリンク包装の採用に至っており、掲載したような印刷瓶は姿を消して久しい。

◆食中毒事件の余波と近年の経営悪化

遡ること平成13年、雪印乳業の集団食中毒事件発生から間もなく、消毒液が混入し異臭の生じていた製品を出荷するという痛恨のミスから売り上げが激減、当時は厚生労働省による総合衛生管理製造過程認可辞退・取り消しにまで至った。

この問題は消費低迷で生産量が落ち込み始めていた時期とも重なり営業上の大ダメージ。その後も市場縮小・原料高・価格競争・経済不況などマイナス材料が積み上がる劣悪な業界環境を打破できず、かつての新鋭工場は40年近い歳月で老朽化が進み、建て替えに着手すれば大赤字は必至。その更新もままならないなど次第に身動きが取れなくなっていく。

◆生き残りを賭けて事業譲渡・新会社設立へ

ついに平成22年、県下では北陸乳業に次ぐ同等規模の地元メーカー、小松牛乳株式会社(能美市)への全事業譲渡を決定。12月に業務移管し、北陸乳業は会社を清算、JA全農いしかわも出資のうえで合弁により新会社を設立する見込みとなった。(続報後述)

登記上の存続会社は小松牛乳となるが社名は変更されるもようで、恐らく「北陸小松乳業」などといった事業者名に変わるだろう。名の知れ渡った「農協牛乳」ブランドは廃止されず、ほぼ確実に続投されるはずで、販路を分けながら「小松牛乳」と「農協牛乳」が一社体制で並存、展開されていくように思われる。(続報後述)

◆新会社は「アイ・ミルク北陸」

事業統合は22年末には間に合わず、年明けの23年4月に完了。新社名はアイ・ミルク北陸(株)。生産拠点は小松牛乳の既存施設を続投し、北陸乳業の旧工場は取り壊されて新会社の能登営業所へ転換した。

両社の主力商品「小松牛乳」と「農協牛乳」は従来通りの商いとなり、将来的にどうなるかは分からないが、とにかくも伝統のブランドは無事に存立を果たした格好である。

ただ、残念ながら200ccビン製品は全てが無地の軽量新瓶に切り替わっている。小松牛乳さんは直近まで印刷瓶を残していたはず?だが、既に新瓶仕様であった北陸乳業側の機械設備が一部移築された結果、瓶装充填レーンが更改されてしまったらしい。

― 参考情報 ―
北陸乳業が事業再編へ 撤退、他社との提携を検討 経営難、施設老朽化
北陸乳業、小松牛乳に事業譲渡 石川の乳業メーカー再編
社名は「アイ・ミルク北陸」 統合の小松牛乳と北陸乳業 (以上3記事、北國・富山新聞)
北陸乳業 経営統合へ 小松牛乳と新会社 (西播地域ユニオン ブログ)


■七尾工場
開設> 不明
昭31> 石川県経済農協組連合会・三浦利作/石川県七尾市府中町二部35-1
昭34〜36> 七尾牛乳製品工場/石川県七尾市府中町テ35-1
昭39〜46> 県経済農協連/石川県七尾市本府中町ニ-35-1

設立> 昭和46年、北陸乳業(株)として ※同時に工場を新設との記録あり
昭47〜48> 県経済農協連/石川県七尾市本府中町ニ-35-1 ※旧称のまま掲載
昭50〜56> 北陸乳業(株)/石川県七尾市八幡町ほ部36
昭60〜平04> 同上/石川県七尾市八幡町ほ36
平23> 小松乳業と事業統合してアイ・ミルク北陸となり工場は閉鎖、営業所へ転換
電話帳掲載> 北陸乳業(株)/石川県七尾市八幡町ホ36 ※当時
公式サイト> http://www.hokurikunyugyo.com/ (北陸乳業)
                 http://www.komatsu-milk.co.jp/ (小松牛乳)
                 http://i-milk.co.jp/ (アイ・ミルク北陸)

■金沢工場
開設> 不明
昭31> 金沢牛乳農業協組・石川助次郎/石川県金沢市長町川岸19-3
昭34> 石川県経済農協連/石川県金沢市長町川岸19
昭36> 同上/石川県金沢市泉本町木90 ※「木」は「ホ」の誤り

昭39〜48> 石川県経済連/石川県金沢市泉本町ホ-90 ※旧称のまま掲載
工場閉鎖> 昭和49年前後
電話帳掲載> 未確認

処理業者名と所在地は、全国飲用牛乳協会 [牛乳年鑑1957年版]・食糧タイムス社 [全国乳業年鑑] 各年度版による。創業年等の一部情報は公式サイト他からの引用あり。電話帳掲載の確認は平成21年時点。



漂流乳業