南アルプスの山脈を描いた堂々のご当地銘柄。自社ラインナップは白牛乳ひと筋、処理は低温殺菌を貫徹。昭和41年前後に自家製造を中止され、ブランドは消滅した。以降は森永乳業や協同乳業(名糖)製品ほかを商う販売店さんとなっている。
掲載の(1)番瓶は、昭和30年代初期まで商われていた五勺 (90cc)
壜。最大直径は普通の一合瓶よりも
ひと回り小さく、高さは三分の二ほど。複数の在庫があるが、どれも瓶の肉厚にばらつきが激しく、大きな気泡が入ってしまっていたりと非常に心許ない出来。
これは乳酸菌飲料等の小瓶ではなく、れっきとした牛乳瓶で、朽ち果てながらも残存していた紙栓に
「市乳 75℃-30分殺菌」 の文字を辛うじて判読できる。東京・片平牛乳と同様に、小口径乳栓の印刷牛乳瓶は非常にマイナーな存在だ。
小児/病人向けの滋養飲料という色合いが濃かった戦前〜戦後は、標準容量が五勺だった時代も確かにあった。しかし印刷瓶が普及し始める昭和30年代には、既に一合入りが当たり前。過渡期ただなかの商品ということになる。
特にアルプス牛乳さんの場合、後継となる一合 (180cc) (2)番瓶への切り替え以前は、五勺壜のみの取り扱いであったということから、当時全国的にも珍しい業態ではなかっただろうか。県下では小諸牛乳さんも同時期には同容量の商いであった可能性があり、“90cc存続商圏”
とでも言うべき地域特性があった?とも想像できる。
― 謝辞 ―
「アルプス牛乳」さんの仔細ほか、kazagasira様よりご教授・ご協力頂きました。